儚いカタクリの花の一生

私の大好きなカタクリの花を、今頃になってやっとブログに載せる事が出来ました。何故かって? それはカタクリの種子が出来るまで待っていたからです。カタクリの様子を順に見ていきましょう。

下の写真… 画面右下の2つのカタクリを時系列で追って行きます。3月30日、2枚の葉に包まれて地上に顔を出します。そしてその葉の一枚が先に下に開き、残ったもう一枚の葉に包まれて花芽が姿を現します。

下の写真… 4月2日、両葉が開き、1本の花芽が姿を表し上に伸びていきます。画面右下の2つです。

下の写真… 4月3日、花が開きました。開いたばかりの花は初々しく綺麗です。そしてオシベとメシベの長さは同じです。ところが前から咲いている後ろの花は、メシベがグッと長くなっています。開花してからメシベが成長するという事でしょう。花は4~5日くらいで終わります。

下の写真… そして受粉するわけですが、カタクリは虫によって受粉する虫媒花となっています。でもこの写真のように虫が来て、蜜を吸っているのを見るのは稀です。カタクリの写真を6年間撮っていますが、現場を押さえたのはこの時(2017年)だけです。そしてこの画面を見る限り、虫がメシベの頭(柱頭)に花粉を付ける機会はほとんどない様に思えます。虫媒花にしてはメシベ、オシベ、蜜のある場所の配置が不適切な気がしますが、カタクリさん如何なのでしょう? かと言って風媒花なら蜜は不要ですし、どうもよく分かりません。来年の観察課題になりそうです。

下の写真(開花して18日目)… そして子房(中に種子)が膨らみ始めました。

下の写真(開花して45日目)… そして種の入った子房は大きく重くなり、地面に垂れ下がって来ます。そして栄養を作り出してきた葉は、黄色に変色して役目を終えつつあります。

下の写真(開花して50日目)… そして葉は朽ち果て、子房の先が黄変し始めています。種子放出の準備が整ってきました。

下の写真(開花して63日目)… そして茎の支える力も無くなり、子房は地面に着きます。そして子房の先端が割れ、黄色い種子が地面に転げ落ちました。これでカタクリの花は任務を全て完了し、儚くも地上から姿を消します。後はアリがこの種子を持って行ってカタクリの生育場所を広げてくれる事になります。球根の表面にアリの好きな物質が付着しているそうで、それをアリが食べたら本体はそのまま捨てられるとの事です。また持って行ってくれなくても、そのこぼれた所に次世代が誕生する事になります。ただし最初の数年は小さな葉が1枚出るだけです。そしてその1枚の葉は年ごとに大きくなっていきます。そうやって球根に栄養を何年もかけて貯めて、それからやっと花を咲かせることが出来るのです。

下の写真… カタクリの種子の大きさが分かるようマッチと比較しました。でも今はマッチを見た事が無い人もいるかもしれませんね。意外と大きいのでアリさんも持っていくのが大変そうです。小さなアリでは無理かもしれませんが、アリさんは何匹も集まって大きな獲物を運ぶ事もあるので、出来るかもしれません。でもクロオオアリやムネアカオオアリなら一匹で簡単に運べそうです。あと一つ気付いた事は、この種子は球根そのもののような気がします。黄色の薄皮に包まれた小さな球根だと思います。この種子は庭のある場所に埋めて、そこに印を付けました。来年小さな葉が出てくれるかどうか楽しみです。あ、私がアリさんの代わりになっちゃいましたね。

2021年6月19日 記  カメラ SONY  RX10Ⅳ

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ABOUTこの記事をかいた人

タイに仕事で10数年滞在していました。日曜日はゴルフをしていましたが、ある時花の綺麗さとカラフルな鳥の美しさに気付いてしまいました。  それからはカメラをバッグに入れてゴルフです。あるゴルフ場では「写真撮りの日本人」で有名になってしまいました。(あ、ゴルフ場には迷惑をかけておりません。)それらの写真をメインに日本での写真も織り交ぜて見ていただければ幸いです。 また、異郷の地で日本を思いつつ自作した歌を風景の動画とともにご紹介していきたいと思っています。