中央構造線横の鬼面山登山

久し振りに登山に行ってきました。今年の多くの連休は天気が良くなくてようやく10月11日に行くことが出来ました。それにしても今年は登山には向いてない天気が多かったですね。梅雨がぶり返したり、週末に台風がなんども襲来したりして全く面白くない年でした。登山に限らず週末の街は閑散とし、行楽地もキャンセル多くコロナと相まってみんなの気持ちを落とさしめた年でした。でも、そんな負の事は軽くいなして、負けずに年末を迎えたいと思います。

今回の目的の山は南アルプスの西側に沿って連なる伊那山脈(別称伊那山地)の最高峰の鬼面山1890mです。鬼面山の名前の由来は、飯田市からこの山の夕日の当たった姿が赤鬼の顔の様だという事で付けられたという事です。

下の写真… さて中央道松川インターで降りて天竜川を東へと渡ります。後ろの山は中央アルプスの空木岳より南の山々です。

小渋川沿いに東進し大鹿村に入り、ルート152号線に入り12㎞程南下します。鬼面山の登山口は地蔵峠ですが、林道は工事中の為約3㎞手前の安康川でストップです。ここには有名な中央構造線の安康露頭があります。それについては次のブログで紹介します。

下の写真… さて車を安康露頭用の駐車場に置いて9時40分に林道を歩き始めます。その林道から見えた鬼面山のある伊那山脈の様子です。画面中央の山は栂立山1760mではないかと思います。

下の写真… 林道沿いに清楚な白い花がありましたが、今のところ名前は分かりません。ここは湿った薄暗い林道で、花は殆どありません。

下の写真… そのかわりキノコのキツネノチャブクロの大群落がありました。丸いキノコの中央に穴が開いていて、踏んだり手で押したりすると茶色の煙のようなものがぷわっと噴出します。それがこのキノコの胞子です。自然界では雨粒が当たるとぽっ、ぽっ、と胞子が噴出するとの事です。そのようにしてここのキノコは増えたのでしょうね。

下の写真… 地蔵峠200m手前にこの案内板がありました。この付近は意外と地形が複雑ですのでこういう案内板は助かります。鬼面山は小さな字で分かりずらいので赤で注記を入れて置きました。でもこの案内板を何で地蔵峠に置かなかったのでしょうか? 何か行政上の差しさわりがあったのでしょうかね?

下の写真… これが地蔵峠1314mです。車を置いた地点は1070mでここまで3㎞弱を約50分かかって登って来ました。鬼面山の登山口は写真奥の看板がいっぱいある所で、そこから右の尾根を登って行きます。頂上まで距離は2.9㎞、約2.5時間の登山になります。

下の写真… 登山口から10m入った所に地蔵峠由来の地蔵がありました。この地蔵は大正時代に遠山郷から持って来たそうです。だから地蔵峠というのは新しい名前で、その前は遠山峠と言っていたそうです。

下の写真… その地蔵さんの10m左下斜面の木にR152号線の標識がありました。エッ?とよく見ると落ち葉に隠れていますが辛うじて山道らしき道があります。多分これが本来の峠道なのでしょう。車道が出来たためにもう歩く人はいないのでしょうね。こんな寂れた山道にルート標識があるのは珍しいのではないでしょうか。でもその新しく出来た車道もそこかしこで崩れていて通行止めです。昔この峠は行き来するのに苦労する難所だったようですが、今も舗装道が出来ても難所ですね。その原因は此処に中央構造線が走っているからです。その部分は一億年昔、地質が違う台地が接した所で、岩が砕けていたり亀裂が入っているために軟弱な地盤となっているからです。此処に来るまでに道には頑丈な擁壁が築かれていましたが、それさえも亀裂が入ったり、崩れたりしていました。

下の写真… さあ、鬼面山1890mに登山を開始しましょう。10時30分スタートです。道は総て尾根道です。最初は痩せ尾根が1時間くらい続きます。尾根道なのでピークがいくつもあり、登ったり下りたりを繰り返します。下るたびに少々気が落ち込みます。

下の写真… 尾根道は所々崩れていますが、注意すればそんなに危険ではありません。ただ小石が一杯で滑りますので下りは注意を要します。私も注意していても何度か滑りました。この登山道はストック2本を持っていた方が安心です。私はストック1本だけしか持って行かなかったので、もう1本は下に落ちている枯れ枝をストック代わりにしていました。

下の写真… 行程半分の所にあるピーク貴ノ峰1585mです。でも何を持ってこのピークだけ名前を付けたのか分かりません。眺望は全くないただの山の中です。

下の写真… この登山道は眺望は殆どありません。2か所だけちょっと開けた所がありこの様に見える所があります。左の低い山は前茶臼山2331m、右の高い山は奥茶臼山2474mです。この尾根をずっと右に行くと尾高山2213mを経てしらびそ峠へと続きます。

下の写真… 1700m地点まで登って来ました。狭い尾根は広くなってきました。そのためか道がハッキリしなくなってきました。そして何箇所か別尾根が合流してきます。問題は帰り道です。道がハッキリしないため別尾根を下りてしまう危険性があります。そのため何度も後ろを向いて登ってきた方向を確認し、自分なりに倒木や木の根っこなどを目印として覚えながら登って行きました。ピンクテープはたまにしかありません。そしてそのテープも色褪せ、中には地面に落ちている物もありますので、再度登山道の整備をする必要があると思います。

下の写真… 鬼面山頂上に1時に到着です。地蔵峠からの所要時間は2時間30分でした。西側の中央アルプスは全貌が見渡せます。しかし東側の南アルプスは木が茂っていて見えません。この前までは櫓があって南アルプスもいくらか見えていたようですが、櫓が腐ってしまった様で撤去されていました。伊那山脈は南アルプスに接していて南アルプスの眺めは良いはずなのですが、ほとんどの山は伊那谷及び中央アルプスの眺めは良くても、南アルプスの眺望は無視されているような感じです。今後山の整備をする時はそれを考慮に入れて2つの山脈が望めるようになれば有難き幸せで御座います。

下の写真… 中央アルプスの景色を軽く見ていきます。左は越百山(こすもやま)2613m。中央は5月に登った烏帽子岳2194m。右は仙涯嶺2734mと南駒ヶ岳2841m。

下の写真… 更にその北側。左は南駒ヶ岳。中央は赤梛岳2798m。右は空木岳2864m。中央下は高山植物の宝庫であり紅葉の隠れたスポットの擂鉢窪カールです。その下は山全体が崩れている百間ナギです。(烏帽子岳登山参照)

下の写真… ずっと北上して千畳敷カールと宝剣岳2931m、その後ろに木曽駒ケ岳2956m。

下の写真… 南東側の木の隙間に南アルプスの最南部の易老岳等が見えているのでしょうが、ここらは馴染みが無いので山の同定が出来ません。木が無ければ東正面に荒川岳や赤石岳が大きく見えるはずです。

下りは1時30分に出発して、安康露頭の駐車場には3時50分に到着しました。所要時間2時間20分でした。

2022年10月16日 記  カメラ  SONY  RX10Ⅳ

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タイに仕事で10数年滞在していました。日曜日はゴルフをしていましたが、ある時花の綺麗さとカラフルな鳥の美しさに気付いてしまいました。  それからはカメラをバッグに入れてゴルフです。あるゴルフ場では「写真撮りの日本人」で有名になってしまいました。(あ、ゴルフ場には迷惑をかけておりません。)それらの写真をメインに日本での写真も織り交ぜて見ていただければ幸いです。 また、異郷の地で日本を思いつつ自作した歌を風景の動画とともにご紹介していきたいと思っています。