日本隊が1956年に初登頂したマナスル8163mを見に、先月の11月にネパールにトレッキングに行って来ました。3日の朝5時に出発して、23時半頃カトマンズのホテル「風ダルバール カマルポカリ」に到着です。トレッキングの準備をして、旅のスタートの喜びと明日の恐怖?を想像しながら就寝です。恐怖とは何でしょうか。このブログの終わりに解かります。
下の写真ー 4日の朝の風ダルバール カマルポカリの風景です。このホテルは日本の風の旅行社が経営しています。70年前にラナ家によって建てられた邸宅を改築したホテルです。ラナ家とは1846年から1951年までネパールを支配した宰相家です。
下の写真ー この日はカトマンズから車で国道04号線で西のバンディプル付近へ行き、そこから北へ36号線でベシサハールに向かいます。その後ジープで登山口のダラパニまで行きます。所要時間は10時間の予定です。トレッキングを始める前にくたびれそうです。ホテルを7時に出発で、一行はトレッキング仲間の日本人5人、ネパール人のガイド1人、サブガイド2人、ポーター3人です。ベシサハールまで5時間かかるので、途中で休憩です。
下の写真ー そこから見たネパールの田園風景です。実りの秋を迎えています。遠くにマナスル山群のヒマルチュリの一部と思われる白い山が見えています。見えてはいませんが、その奥に目的のマナスルが聳えています。
下の写真ー トリスリ川に沿って車はくねくねと西進します。誰かが崖が崩れているといい、それを見た瞬間「ムンクの叫び」の絵が頭に浮かびました。ネパールに来る前にいろいろ情報を集めていた時、この路線でムンクの叫びに似た崖崩れがあるという情報に接していました。しかし本当にこの場面を見れるとは思ってもいませんでしたので感激でした。カメラをスタンバイしていたので車の中でもこの写真が撮れました。
下の写真ー 昼食休憩で停車したレストランの庭で、色々な虫や花、鳥に出会いました。何かの葉っぱに止まるトンボです。大きさは普通のトンボかそれより少し大きいくらいです。考えてみればネパールに4回来ていますが、トンボに出会う事は少ないです。まー、日本はトンボ王国でそれと比べてはいけませんよね。
下の写真ー 「モンキアゲハ」の仲間だと思います。止まっているのは花でなく、穴の開いた葉っぱです。この葉っぱを食べたのはこの蝶の幼虫でしょうか。
下の写真ー アサガオは何処でもありますが、いつも美しさにハッとさせられます。思わず撮ってしまいました。
下の写真ー バナナです。上の部分はお馴染みのバナナです。まだ熟れていません。下の方は花で、ちょうど一房分の花が咲いています。(参考:バナナの花と巨大バナナ)
下の写真ー この鳥は「シリアカヒヨドリ」です。拡大するとお尻の部分に赤色がわずかに見えます。トリスリ川の崖にある木に何羽か飛び回っていました。
下の写真ー 1時にベシサハール到着です。お昼休憩入れて6時間かかりました。ここまでくる間に通ってきた町の中で、1~2番の大きさです。さてここからジープで悪路を40㎞くらい走ります。ジープ2台が揃うのに時間がかかり、2時にダラパニに向けて出発です。所要時間は5時間との事です。お尻の痛いのはマヒしてきています。
下の地図ー 地図下のベシサハールから上のダラパニまでジープ走行です。地図左の山塊はアンナプルナ山群です。アンナプルナⅡやラムジュンヒマールが近くに聳えています。ダラパニから右上に行く道がマナスルトレッキングの道になります。反対の左に行く道はアンナプルナ サーキットといって、アンナプルナ山群をぐるっと回るトレッキング道になります。
ジープの走り始めは豊かな田園の中を走ります。下に見えている川はマーシャンディ川です。
下の写真ー 途中休憩で滝のある所です。70~80m位の落差はありそうです。水が途中で岩に当たって、水しぶきの滝となり迫力があります。
下の写真ー 休憩所の前の道路です。この道はこの奥はまだ工事中で、資材を運ぶのは画面中央のトラクターです。大きなトラックは道幅が狭くて通れないので、このトラクターが大活躍しています。この後の道の怖さを知らない私たちは、のんびりと写真を撮ってはしゃいでいます。
道路は舗装されていません。首都のカトマンズでも未舗装ないしは舗装がはがれたままのひどい道が多いので、この山の中は押して知るべしです。ジープの時速は5~20㎞でひどい揺れで、全身強烈な按摩をしてもらっているようです。
下の写真ー 谷は急に狭くなり道も狭く、所々で工事をしています。工事の車両とすれ違う時はどういう訳か工事車両は山側に寄ります。仕方ないのでジープは右側つまり谷川に避けて通ります。その時は車両同士は数cmの距離で、一寸刻みの前進になり、ジープは谷に乗り出しています。乗客は恐怖で写真撮影どころではありません。皆さん心の中で「ヤバイ、落ちたら確実に死ぬ。」と思っていたようです。ここで谷底までは200m位のものです。でもこの後更に恐ろしい事態になりました。画面中央の奥に大岩壁が立ちはだかっています。さて、どういう事態になるでしょう?
下の写真(三重県 C.T様撮影)ー 眼前に大岩壁が近づいて来ました。岸壁の中央に何やら道らしきものがあります。「エ???? アレ、道? まさかあんな崖の細い道を通るのではないよね?」 と思っていたら、車は左にそれていきます。ああ、やっぱし別の道があるんだと喜んでいたら、小さな川を渡った車は急に右に曲がって、あの大岩壁の細い道に突入です。全員が心の中で叫びます。「ヤバイ!!」その道は正に日本の黒部峡谷の恐怖の水平歩道と同じです。いや、マナスルの地獄の水平車道です。岩を削って車1台辛うじて通れる道で、ガードレールなんて気の利いたものはありません。(場所は上の地図で示しています。)
恐怖の6~7分間でした。もう二度とここを通りたくない、これが全員の本音でした。この後30分位で目的地ダラパニに6時到着でした。やれやれ。今日はトレッキングしないのに皆さんくたくた。興奮を沈めて夕飯を食べて、すぐおやすみなさいをしました。ところで残念ながら帰りもこの恐怖の道を通ります。メンバーの一人が意を決して助手席に座って、ビデオを撮ってくれました。それは帰りの時のブログ(マナスルトレッキング6)に載せてあります。ご覧下さい。
2018年12月3日 記 カメラ SONY RX10Ⅳ
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