北陸の旅 黒部峡谷 名剣温泉

欅平駅からは徒歩で20分ほどの名剣温泉に向かいます。

下の写真… 黒部川に架かっている奥鐘橋を渡ります。その橋からは上流に、黒部川第三発電所(手前、昭和15年、86,000kw)と、新黒部川第三発電所(奥、昭和38年、111,000kw)が見えます。この二つの発電所で使う水は直線距離で約5000m上流の仙人谷ダム(高さ43.5m)より導水管で引いてきます。仙人谷ダムの標高が約900m、ここの欅平の標高が約600mとなり、約300mの落差で発電しています。

この300mの落差は発電には良いのですが、一つの大問題がありました。仙人谷ダムを作る時、落差が有り過ぎてトロッコ電車が登る事が不可能なのです。通常、鉄道は1000m行って25m上がる勾配が限度なのです。ここの場合はトンネルを掘っても一直線とはいかないので、仙人谷ダムまで6000mのレールを引くとします。そして300mの落差ですから、1000m行って50m上がる勾配となります。とんでもない急な勾配です。また運搬する物は重い資材ですから勾配は出来る限り緩い方が良いのです。さーて、その解決方法は如何したのでしょうか?

解決法は、何とトロッコ電車を竪抗エレベーターで200m上まで運び上げ、そこから走らせるという方法でした。ただ、例えば10両編成の列車を一度に運び上げるのは、大掛かりなエレベータになり、当時ではこんな山の中では不可能です。一両づつ運び上げるエレベータになりました。それでもかなり大きなエレベータですね。これで線路の勾配はあと100m上がれば良いのですから、1000mで約17m上がる勾配になり問題は解決です。現在この上部の黒部鉄道は仙人谷ダム、黒四発電所を通って黒四ダムまで続いています。そしてこの上部軌道は観光客は乗れませんが、年に何回か見学ツアーを受け入れているようです。

ところで、黒部川第三発電所の水源の仙人谷ダムで問題がありそうです。ダム湖に土砂の流入が多く、既に90%が土砂で埋まってしまったという事です。貯水量が少なくなれば安定した発電が出来なくなります。ただこのダムの上部に黒四ダムがありますので、それがバックアップになっていると思います。でも土砂が大量に流れてくるという事は、雨による山の削られ方が激しいという事になります。という事は更に上流の黒四ダムも将来危うい事になってきますが、どういう事になっていくのか心配です。

下の写真… 奥鐘橋を渡ると岩壁を削った道に入ります。ここは遠くから見ると人を飲み込んでいるように見え、人喰岩と呼ばれています。車も通れる大きな水平歩道と言った所です。

下の写真… 振り返ると欅平駅が遠くに見えます。右下の赤い構造物が奥鐘橋です。

下の写真… 道の横は黒部川支流の祖母谷(ばばだに)と祖父谷(じじだに)の水を集めた渓流です。この道から渓流までの落差は50mくらいあります。この水は後立山連峰の唐松岳2695mや鑓ヶ岳2906mの水を集めています。どうして「ばばだに」「じじだに」というのかわかりません。その二つの合流地点には祖母谷温泉がありますが、今回はそこまで行かない手前の名剣温泉に宿泊です。

下の写真… 途中に小さなトンネルがあり、それを過ぎて振り返って見た写真です。右の岩の岸壁を削って道を作るのはカーブが急すぎて危なく、トンネルの方がまっすぐで安全で、費用や手間共少なかったのでしょうね。

下の写真… 名剣温泉が見えてきました。ぶらぶら歩きで20分ほどで、歩く距離としては丁度良い距離かと思います。

下の写真… 名剣温泉の玄関口です。「日本秘湯を守る会」というのが何か楽しくなりそうな宿です。ところで名剣という名前は何処から来たのでしょう。この渓谷の川向こうに聳える山が名剣山1906mという山ですから、その名を頂いたという事です。

下の写真… これが秘湯の露天風呂です。渓谷沿いにあり、6月でしたので新緑が目に眩しいくらいでした。秋にはこれが紅葉して、素晴らしい眺めになると思います。ビールを飲みながらこの岩風呂に浸かっていれば天国でしょうね。私はどうしたかって? 御想像にお任せします。

下の写真… 夕飯の前菜です。ここで取れた色々な山菜が使われています。やはり山菜は美味しいです。

下の写真… 画像が90℃横になっていますが、ここのビールです。秘湯ビールという超限定ビールです。日本秘湯を守る会に入っている秘湯温泉でしか飲むことが出来ません。やはり玄関にある日本秘湯を守る会の提灯は伊達ではありませんでした。このビールは秋田県の田沢湖の南、和賀岳1439mの西麓にあるわらび座の田沢湖ビールブルワリーで作っています。ビール酵母は特殊で、ブナ天然酵母を使用したビールで、柔らかな味わいのビールでした。

下の写真… 山菜の王様タラの芽に勝るとも劣らない根曲り竹の炭火焼です。皮を向いて酢味噌で美味しく頂きました。秘湯ビールを飲みながらは野趣満天でたまらないですね。

その他はイワナの塩焼きや鶏肉料理も出て来ましたが、どれも美味しい物でした。

下の写真… 締めは根曲り竹の炊き込みご飯を頂きました。お腹が満腹、心は大満足で、渓流の音を聞きながらぐっすり眠れました。

2020年12月7日 記  カメラ CANON  G1XM2、携帯カメラ

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タイに仕事で10数年滞在していました。日曜日はゴルフをしていましたが、ある時花の綺麗さとカラフルな鳥の美しさに気付いてしまいました。  それからはカメラをバッグに入れてゴルフです。あるゴルフ場では「写真撮りの日本人」で有名になってしまいました。(あ、ゴルフ場には迷惑をかけておりません。)それらの写真をメインに日本での写真も織り交ぜて見ていただければ幸いです。 また、異郷の地で日本を思いつつ自作した歌を風景の動画とともにご紹介していきたいと思っています。