キイロスズメバチの巣作り

この時期になるとハチに刺される被害が多くなります。スズメバチでも特に注意をするのはオオスズメバチとキイロスズメバチです。オオスズメバチは世界最大のハチで牛をも倒すと言われ、人間が刺されると生命が危ぶまれる状態になります。ただこのハチは餌になる昆虫がたくさんいる自然豊かな所が生活圏ですので、人間との接触は低くなります。ところがキイロスズメバチは市街地でも巣作りが出来るハチで、軒下などに大きな丸い巣を作ります。大きな巣では50~60cmになり、巣を囲っている外被からキイロスズメバチがたくさん出入りしているのを見た事のある人は多いかと思います。大きい巣でたくさんの幼虫の子供がいるので、巣の近くを通ったり騒いだりすると、ハチは子供を守るために攻撃してきます。

今年の春、我家の駐車場の天井に、このキイロスズメバチが巣作りを始めたのを、たまたま気付いてしまいました。ハチの巣作りを今まで連続で見た事が無かったので、これを機に毎日写真撮影を始めました。ただ我家の前は保育園児のお散歩コースになっているので、巣が大きくなる前に駆除する予定でしたが、親バチが途中でいなくなったのか死んだので巣の拡大は終わり、観察もそこまでになりました。

下の写真… 1日目 2020年5月28日 7:00

朝、駐車場の中へ大きなハチが飛び込んできたので、巣が有る事に気が付きました。幼虫の部屋が5室ばかりあるので、多分昨日あたりから巣作りを始めたのだと思います。巣の上部の笠みたいなものは巣を覆う外被の作り始めです。

下の写真… 1日目 5月28日 12:37

上の写真より約半日経ったときの写真です。外被の部分に白い所と黒い所が加わって大きくなっています。幼虫の部屋も作り始めの小さな部屋が増えている様に見えます。ところで巣の材料は木の繊維です。木の皮やその皮の下の白い木質部などを齧り取ってきます。それを唾液と混ぜて巣を作っています。そのため齧る場所によって色が違ってきます。また最外周の黒い部分は唾液がまだ乾かないために黒く見えますが、乾くと茶色になります。

下の写真… 2日目 5月29日 13:39

ほぼ1日経った巣です。部屋ははっきりと7室に増え、小さな白い卵が産みつけられています。外被も少し広がっています。昨日の黒いところは乾いて茶色になっています。

下の写真… 3日目 5月30日 14:24

部屋は8室になり、部屋の高さ?深さ?も長くなっています。外被は更に大きくなっています。

下の写真… 4日目 5月31日 12:58

少しだけ大きくなりました。親バチさんは巣作りに少し疲れてきたのかな?

下の写真… 6日目 6月2日 13:20

上の写真より二日目の写真です。昨日は大工仕事に熱中していて、写真撮るのが疎かになってしまいました。親バチさんは気合を入れた様で、巣作りがかなり進行しました。部屋は12~13室になり、外被は閉じかけ始めています。

下の写真… 7日目 6月3日 14:03

外被がほぼ閉じてしまいました。部屋の方はほぼ完成したので、外被作りに専念したのでしょうね。

下の写真… 8日目 6月4日 13:55

下の空いた口がもう少しすぼまっただけで変化は有りません? と思ったのですが、巣の付根を見て下さい。暗いので見落としてしまいますが、小さな笠が出来ています。どうなるか、明日になればはっきりするでしょう。

下の写真… 9日目 6月5日 14:27

どうも外被を二重にするようです。目的は巣の中の気温の安定化と、外敵からの攻撃を防ぐためと思います。

下の写真… 11日目 6月7日 15:36

二重の外被も半分くらい出来てきました。

下の写真… 13日目 6月9日 14:39

更に覆われてきました。親バチも元気に働いています。しかし働くのは今の内だけです。幼虫が成虫の働き蜂になると、巣作り(拡大)や幼虫のエサ探しなどは働き蜂に任せて、卵産みに専念します。人の社会で例えると、会社を一人で興した社長さんと同じですね。

下の写真… 14日目 6月10日 13:34:09

この写真の30秒ほど前にハチが帰って来ました。幼虫の餌も巣の材料の樹皮も持っていないようです。

下の写真… 14日目 6月10日 13:34:16

しかし7秒後には右前脚に黒っぽい物を抱えています。そして口を巣の縁に寄せています。巣作りを始めるのでしょうか。ということは巣の材料の樹皮はどこに持っていたのでしょうか。口の中から取り出したと考えるのが一番可能性があります。ミツバチは蜜を運ぶ時は、蜜をお腹の中の蜜胃に入れて運んでくるという事です。もしかしたらスズメバチには樹皮胃というのがあって、そこにかみ砕いて唾液を混ぜた樹皮を入れて運んで来るのかもしれません。そして巣を作る時にそれを口から出して巣を作って行くのかもしれません。これはあくまでこの2枚の写真から推測した考えであって、本当の事は私は知りません。次回(来年以降)身近に巣作りを始めた巣に出会ったら、望遠ビデオで撮って検証する必要があると思います。

中の巣では幼虫がかなり大きく育っています。

下の写真… 17日目 6月13日 15:23

巣の入口はだいぶ閉じられました。そして外被をもう一つ作り始めました。どうも三重にするようです。そして幼虫の部屋に白い幕が被りました。幼虫が充分に成長して、蛹になる準備を終えたのです。2週間ちょっとで卵から蛹になることが分かりました。これからは餌をもらう事なく、じっとしながら変身して成虫の働き蜂になります。

下の写真… 19日目 6月15日 16:31

入口が少し閉じられ、三重目の外被が大きくなっています。また白い幕を被った蛹がさらに増えました。

下の写真… 20日目 6月16日 15:33

下の出入り口が更に小さくなり、三重目の外被も大きくなりました。しかしどうも様子が変です。頻繁に通っていた親バチの姿が見当たりません。

下の写真… 26日目 6月22日 12:50

6月16日から約1週間見てきましたが、親バチは通っていません。そのため幼虫は餌をもらえず死にました。写真は見ずらいのですが、幼虫が死んだため黒っぽく変色したのが分かると思います。親バチは死んだか巣を放棄したかのどちらかと思いますが、真実は分かりません。スズメバチは昆虫の中でも最強の昆虫ですので、他の昆虫に襲われることは少ないと思います。そして鳥もハチは危険な昆虫と遺伝子が教えているので、鳥による捕食はあまり考えられません。巣の放棄については、蛹になるまで育てもう少しで働き蜂が出てくる間際になって放棄する理由は無いように思います。

親バチがいない事によって、この観察(写真記録)も終わりにしました。また次に機会があれば、もっと詳細に観察してみるつもりです。

2020年9月27日 記  カメラ SONY  RX10Ⅳ

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タイに仕事で10数年滞在していました。日曜日はゴルフをしていましたが、ある時花の綺麗さとカラフルな鳥の美しさに気付いてしまいました。  それからはカメラをバッグに入れてゴルフです。あるゴルフ場では「写真撮りの日本人」で有名になってしまいました。(あ、ゴルフ場には迷惑をかけておりません。)それらの写真をメインに日本での写真も織り交ぜて見ていただければ幸いです。 また、異郷の地で日本を思いつつ自作した歌を風景の動画とともにご紹介していきたいと思っています。