現代の土木工法を実践する狩人バチ

9月8日の日曜日、畑の草取りは一段落して庭に置いてあるイワシバ(イワヒバとも言う)の鉢の回りの草取りを始めました。すると2mほど離れた草むらでガサッと音がしたのでよく見ると狩人バチとトカゲが対峙していました。そしてハチがトカゲに飛んで攻撃するとトカゲは草むらに隠れました。トカゲは昆虫を捕食しますのでハチが咥えている芋虫を狙ったのでしょう。しかしハチに撃退されてしまいました。

下の写真1- そして程無くして芋虫を咥えたハチがイワシバの鉢の方にやって来ました。このハチの名前はヤマジガバチといいます。

下の写真2- 見ているとこの丸い鉢の周りを何週もしています。エサを入れる穴の所はちっとも行きません。私も地面をそこら中見ましたが穴は見つかりませんでした。

下の写真3- ハチも疲れたのか芋虫(ピンク線)を置いて、身軽になりフラフラ歩いています。トカゲに襲われたショックで巣の穴が分からなくなったのかと思い、こちらも観察を諦めました。

下の写真4- 2日後にハチの穴は何処だったのかとその付近を覗くと、何と鉢の中に穴をいじっているハチを見つけました。ナーンダ、こんな所だったのか、地面でなく鉢の中とは思ってもいませんでした。

下の写真5- するとハチが穴の中に潜る深さが浅くなっている事が分かりました。

下の写真6- そうです、穴を埋めていました。これが埋め終わった後の写真で何処に穴があったか全くわかりません。多分この穴に芋虫が運び込まれて、芋虫の体に卵を産み付けたのでしょう。もしかしたら又別の芋虫を此処に運び込むかも知れないと思い注意を払って庭仕事をしていました。

下の写真7- 1時間半位経った時に芋虫を運ぶヤマジガバチを見つけました。今度は黒っぽい芋虫です。前回は写真2の緑色の芋虫でしたが運び方に共通点があります。それは芋虫を逆さにして、つまり芋虫の足を上に向けハチは喉?付近に噛み付いています。芋虫はそこが一種の急所になるのでしょうか?

下の写真8- 例の鉢を見ると何と穴が開いているではありませんか。穴を開けた時期は虫を見つける前なのか、見つけた後なのか、後だったらどのタイミングで開けたのか全く分かりません。

下の写真9- 今回はハチも迷わずに穴の横まで獲物を運んできました。

下の写真10ー そしてあっという間に芋虫は穴の中に引き摺り込まれて行きました。

下の写真11- そしてハチは周りの鹿沼土の塊を咥えて穴の中に入り穴を埋めていきます。

下の写真12- ハチの姿が見えなくなる位の奥から穴をふさいでいます。

下の写真13- 穴の底が見える程穴が埋まってきました。

下の写真14- 埋め始めてから約25分で完成です。ハチの子供とエサを守るために地下の別世界に隠れ家を完成させたのでした。ただ驚くべきことにこのヤマジガバチは穴を埋める時に現代の土木工法である「振動締固め工法」を使っています。それは何かと言うと軟弱の地盤を強固にするために土地に振動を与えて土のすきまを無くして固めていく工法です。人間の場合は専用の機械を使います。土木工事で見た事がある人もいると思います。だがヤマジガバチの場合は当然機械なんてものは有りません。自分自身が機械となっていました。そうです、口の牙で咥えた石や土塊を穴の壁に押し付けハチ自体がジーという振動を出して締固めていきました。最初はこの音を何のために出しているのか分かりませんでしたが、ハッと閃いたのが上記の考えです。ただ本当にそうなのかは昆虫学者に聞いてみないと分かりません。そして締め固める時だけではなく土塊を取る時にも振動を出しながら取る時もありました。

上記の解説文だけでは分かりづらいので、この下に動画を掲げておきます。ただジーという音は微かですので音量を上げてご覧下さい。

狩人バチの振動締固め工法

2024年9月  記  カメラ SONY  RX100M6

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タイに仕事で10数年滞在していました。日曜日はゴルフをしていましたが、ある時花の綺麗さとカラフルな鳥の美しさに気付いてしまいました。  それからはカメラをバッグに入れてゴルフです。あるゴルフ場では「写真撮りの日本人」で有名になってしまいました。(あ、ゴルフ場には迷惑をかけておりません。)それらの写真をメインに日本での写真も織り交ぜて見ていただければ幸いです。 また、異郷の地で日本を思いつつ自作した歌を風景の動画とともにご紹介していきたいと思っています。